Guinea, Sovereign, Shillings

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2024.10.31 [雑感] 某オークションで待望の某貨が・・・
今年も銘品揃いですごいですね。ここ数年はこれまでより一段と取引価格が高騰しているためか滅多に目にすることのない銘品が出てくるようになったような気がします。
そして当サイトでもずっと待ってたものが出ていました。ただ写真からは気になる点があるので見送るのか？指すのか？指すにしてもどこまでを上限とするか？下見をして、いつものように最終的に候補を 3点くらいまでに絞りますが・・・まあいつも予想を超えた落札額になりがちなので。そもそも手が届くのか？という点が一番の気がかりではあります。

2024.10.01 [更新] エドワード6世 1551年銘テストーン劣位銀貨
この銀貨は銘文の周囲にローマ数字で年銘が MDLI (=1551) とあり、百合の小さな極印があることからサザーク鋳造であることを示します。
1540年代になって新しい額面として発行されたテストーン銀貨は、ヘンリー8世時代には約8g前後のまま品位を下げ始め .925 のスターリングだったものが 1544年に .758 となり、その翌年の 1545年には .508 となり、さらにその翌年には .342 となった。エドワード6世肖像のテストーン銀貨は、ヘンリー8世のテストーン銀貨に比べて多少純度を高めたが、重さは約半分になったもののすぐに純度も低くなり最終的に .252 まで下がっています。

2024.08.06 [追悼] まだまだご活躍されるものと思っていました
有楽町催事でトレーに並んだコインを見ていたら隣から「外国コイン研究会というのがあるんだけど、入ってみない？」と声をかけられたのが初対面でした。
初めのうちは同人誌制作していることもあってご遠慮していたのですがその数年後にはまんまと入会。そして現在に至る訳ですが...早いものであれから15年。難儀していた専門書の入手にご助力いただいたり、何故か産地直送のヴァチカンシリーズを手渡されたりと、その間の思い出は書き出せばきりがありません。
しかしながら遂にこの日が。例会であの朗らかな笑顔をもう見られないことが残念でなりません。

2024.07.29 [更新] イングランドヘンリー6世サリュ金貨
百年戦争中イングランド側により発行された金貨として入手を試みてからじつに10年。希少な訳ではないこともあり選好みをして条件は良いけれど、出てきたときには準備不足などが続いて諦めかけていました。もし百年戦争をテーマとする金貨収集をするならば「騎馬肖像もしくは国王立像のフラン金貨」「王冠エキュ金貨」、それに「サリュ金貨」の 3枚もあれば枚数は少ないながらも十分なコレクションと言えるでしょう。中世の打造貨幣の収集難易度はどれだけ状態を拘るかに比例するように思います。

2024.07.04 [雑感] ベースラインをどこに置くか？
このところ地金の上昇から金貨に手を出すのを躊躇う場面が増えてきました。あり触れたもので割と状態が良いものが多く残っているのが分かっているものを、以前の何倍も出して入手しようとするか？と言えば、うーんと考えてしまいます。まあそれでも未収集品だと手を出してしまうので、予算を積み崩すだけの価値をそれに見出すことができるのか？という気持ちの問題と言えるのかもしれません。
末筆になりますが COMITIA 148 では、ご来場いただいた皆様ありがとうございました。

2024.05.18 [同人誌頒布] 5/26(日) 東京ビックサイト東館 COMITIA 148 配置場所 N52a
何だかあっという間で月末の同人誌即売会 COMITIA 148 に出展します。
昨年末に完成させた「カロリング朝フランク王国の貨幣」は、構想10年、制作期間10ヶ月あまり。翻訳の妥当性を検証できるように文字起こをした原文も付けたので普段の2倍厚という結果に。今まで興味はあってもカタログなどの資料が少ない分野は、その敷居の高さに手が出ませんでしたが、この数年で Chat-GPT など AI の進化や一般公開もあって——ひょっとして潰れて読めない文字のある文章を推論させれば、そこに何が書かれているのか分かるのでは？と実験したところ成果は上々——。劣化した文字を認識させて文書に起こすのはまだまだ難しい部分があるようなので、目視で打ち込んで精査するという方法で制作してみました。
今回は新刊で記述されている内容を鑑みて、いつもの「情報・評論」ではなく「歴史」のジャンルで申し込みました。参加方法はオフィシャルサイトをご覧ください。

2024.04.04 [更新] フランス ND (1290-1295) フィリップ4世ドゥニエ劣位銀貨
トゥールの城が描かれたドゥニエ、かなり磨耗しており状態は FINE 未満で VG あたりでしょうか？劣位銀なので白く見えます。
ルーペで見ると辛うじて十字のある面に＋PhILIPPVS REX (フィリップ王) とあり、その裏面は TVRONVS CIVIS (トゥールの街) と読めます。分類は duplessy 225 文字の形が独特なことや極印の打ちが弱い部分で欠けたように見えるので判読には経験が必要かもしれません。

2024.02.13 [雑感] Bluesky にもアカウントを作りました
同人誌「英国貨幣収集の楽しみ」の制作から 12年、当時に比べて収集環境が大きく様変わりして状態の良い英国貨幣はなかなか手の届きにくい価格帯になりました。そのため「財布に優しい価格帯で楽しむ貨幣収集」というコンセプトで不定期連載を始めました。題材毎にツリーにしています。多少書きなぐっている面もあるので後日あれなツリーは削除するかもしれません。

2024.01.01 [謹賀新年] 本年もよろしくお願いいたします
年初から質量ともにすごいのが出ていますが、残念ながら長年探しているものは含まれていませんでした。
昨年は幾つかのシリング銀貨を追加していますが年銘や肖像で重複品ばかり、エドワード7世はマットプルーフだったので通用貨の国王別収集は進捗のない結果でした。テーマ別収集は残りが少なくなればなるほど難易度が対数みたいに上昇するので時間をかけるしかありません。今年も手軽なもので楽しみながら未収品が出てくるのを待つことになるでしょう。
同人誌は手軽に楽しめるものをと思っていますが、毎年それを書いてはマニアックなものを制作している気がしなくもありません。

2023.12.31 [御礼] コミックマーケット 103
今回はすっかり例年並みの人出に戻って 14時半くらいまで通路には絶え間ない人通りで、既刊「ヴィクトリアンコインエイジ総集編」も搬入分は完売。新刊「カロリング朝フランク王国の貨幣」は制作しておいて何ですが、マニアック過ぎて数冊くらいしか出ないだろうとの予想に反して老若男女に偏りなく、お越しくださった方の半数がに手されたのは正直なところ意外でした。2021年冬コミ、2022年冬コミを若干上回る頒布数という結果に。既刊を読んで再訪くださる方や、感想を仰ってくださる方もいらして、好きなものを好きなように制作しているので琴線に触れるものであったとしたら大変うれしく思います。心より御礼申し上げます。
それでは皆様、よいお年をお迎えください。

2023.12.29 [雑感] 2023年の収集を振返る
今年はコロナ禍の混乱を経て頑張りすぎたような気もします。
主たるテーマの英国貨は重複品もあったものの約 20枚。金貨 8枚、銀貨 39枚を含む計 65枚という結果でした。以前はこれくらいの内容と枚数でも 7割くらいの価格帯で集められたような？色々なものが高くなりましたね。枚数としては 1割弱ほどしかない金貨は地金に影響されて費用の 6割も占めており、金貨を収集する大変さが身に沁みます。
最近のフロアオークションなどを見ていると何だか少し変化が見られる気がします。いつも入札しなくても幾つか注目しているものは落札予想を建てていますが、それに収まるものもあれば驚くようなことになる場合も多々あります。今年はジョージ3世スペードギニー金貨の極美品 (EF) や、ヴィクトリア若年肖像ソブリン金貨の未使用 (UNC) あたりは Coins of England 2023 の評価額でポンドじゃなくて x100円くらいの感覚から、現在だと 1.3～1.9倍くらいと思っていたのですが・・・はて？
来年は熱くなり過ぎずのんびりと楽しみたいと思います。皆さま、よい年始をお迎えください。
今年の更新を終える雰囲気を出してますが、有明・東京ビッグサイトで開催される冬のコミックマーケット 2日目にサークル出展するので続きます。2023.12.31 雨の予報なのでどうなることやら > 大雨にならずに済みました。

2023.12.13 [雑感] エドワード7世 1902年銘マットプルーフシリング銀貨
エドワード7世のマットプルーフは製法が変わったことによる違いなのか？それまでのヴィクトリア女王のプルーフにはあまり見られなかった独特なトーンが起こりやすく金貨とはまた違った雰囲気になります。1902年以降のセットには箱から貨幣を取り出すための紐の痕跡がトーンに影響を与えているものがあり、初見では何か擦れのように見えるため状態を判定するには経験が必要です。何れにしても好みが分かれるところでしょう。

2023.11.19 [雑感] 某オークションは昨年に続いて空振り
事前下見をしてなかったので夕方に出動。今回は気になる英国貨があったので下見をしたものの全品見送りとしました。何も差さないのもどうかと思い、価格帯次第と某貨を差したものの滑り込みで落札寸前で対抗があり、割とあり触れた物に何がなんでもというのも気が引けて撤退。うーん、間違いない MS なら強気で差しますが EF+ なのに MS と付いたスラブにはそんなに出せない...

2023.11.17 [同人誌] 新刊「カロリング朝フランク王国の貨幣」製本されてきました。
週末着荷で申請していましたが問合せたところ、変更可ということで 11/16 午前中に到着しました。早速開封！何度も心が折れては、やり直した日々を思い出します。
今回は背幅に余裕があるのでこんな感じに。BOOTH通販 - guinea-sovereign-shillings に登録しました。

2023.11.15 [同人誌] コミックマーケット103 当選しました。12/31 配置場所東地区ピ-23b

2023.10.26 [同人誌] 入稿しました
初版装丁は A5版 124ページ日本語訳とフランス語・ラテン語原文付。11月下旬には製本されて手元に届く見込みです。あー楽しみ！
－目次－
・はじめに・カロリング朝時代の通貨単位と度量衡・中世フランスの通貨単位 / 貴金属純度 / カロリング朝時代に使われた度量衡と貨幣量目 / 重量マルクの貨幣量目・原文の日本語訳にあたって・フランス貨幣の歴史的論評第二期 : ピピン / シャルルマーニュそれと、その弟のカルロマン / ルイ1世 / アキテーヌ王ピピン / 皇帝ロタール、皇帝ルイ2世、ロレーヌ王ロタール / 皇帝シャルル2世 / ルイ2世ルイ3世とカルロマン / ウード、ロベール、ラウル / シャルル3世/ ルイ4世、ロタール・通貨単位と現物貨幣の推移まとめ・TRAITÉ HISTORIQUE DES MONNYES DE FRANCE. SECONDE RACE. : PEPIN / CHARLEMAHNE, ET CARLOMAN SON FRERE. / LOUIS Le Debonnaire. / PEPIN Roy d'Aquitaine. / LOTAIRE Empereur. LOUIS II. Empereur. LOTAIRE Roy de Lorraine. / CHARLES Le Chauve. / LOUIS Le Begue. LOUIS & CARLOMAN. / EUDES. ROBERT. RAOUL. / CHAERLES Le Simple. / LOUIS d'Outre-Mer. LOTAIRE.・奥附

2023.08.22 [同人誌頒布] 冬コミ新刊予定カロリング朝フランク王国の貨幣先行公開版【2023.10.08 公開終了】
現在制作中の新刊は、「カロリング朝フランク王国の貨幣」と題して 1692年に刊行されたフランス貨幣の歴史的論評から第二期カロリング朝の章を日本語訳したものです。

2023.08.05 [更新] シャー・アーラム1世治世2年銘ルピー銀貨
CCF にて、年銘は範囲外であるものの 2 の数字があり何とかなるかな？と入手した詳細不明のルピー銀貨 4枚のうちの 1枚。調べたところ見切れている銘文はシャー・アーラム・バハードゥルの銘でした。治世年から逆算すると、もし年銘が範囲に収まっていれば 1119 あるいは 1120 のはずで、西暦に換算すると 1707年あるいは 1708年。鋳造地銘は打刻の範囲外なので不明です。

2023.06.16 [更新] チャールズ2世第2肖像 1676年銘シリング銀貨
主たるテーマのうちチャールズ2世のシリング銀貨の入手はじつに 14年ぶり。1676年銘の第2肖像には極印違いが発見されており ESC 第6版以降の Bull 版で、首の後ろにある髪を結ぶリボンの先端がカーブしている第2肖像。カーブしてない極印違いで区分されるようになりました。本品はカーブがあるので、これまで知られている第2肖像のものです。

2023.06.09 [進捗] 対訳部分を抜けたらすいすい？

2023.05.28 [御礼] 秋葉原「超」同人祭＋
今回は有明と違って小規模かつ、いつも自転車で行っている場所とあって荷物を減らして自転車で GO。サークル入場チケットは事前にPDFで提供され、そこに署名をしたものをスマホで提示・目視確認という形は割とスムーズでした。ただこの方法は小規模だからできたような気もします。さて気になっていたスペースは、現代的な会議室にある感じで半机だと15cmほど少し短めなのでA5版 6種＋コイントレーで幅ぴったり。
直接参加サークル数は 132、これは COMITIA144 比で約 3％となります。2島+α くらいの広さ。有明のイベントですと「情報・評論」はアーリー時間帯でも閑散としているのですがほぼ同じ印象。一般参加者数は約 500 だったそうで一般入場時間帯になると、12時半頃は混み始めたものの 14時頃にまた人が少なくなりそのまま終了。目の前を通りすぎる方は有明だと男女半々ですが、今回は男性が多かったように思います。
頒布数は COMITIA144 の約半分、出展/参加者数の比率から言えばほぼ全量を持ち帰ると思っていたので少し意外でした。ブースにお立ちより下さった皆様ありがとうございました。
今回サークル参加費 500円だったのですが、見本誌用B5版PPカバーや団扇 (冷房が効きすぎて寒かったのであまり使いませんでした) が配布されていたりと、UDX会場費用だけで赤になってないか心配になるくらいの手厚さでした。

2023.05.06 [御礼] COMITIA144
もう夏ですか？という感じの行楽日和。会場内も暑い状態でした出店屋台を利用したら暑さと満腹感で眠いのなんのブースにお越しくださった皆様ありがとうございました。移動中の電車内でもコロナ前の混雑ぶりといった感じで GWが明けても分類が変わるだけで疾病が消えた訳ではないので十分注意いたいところです。
さて今回は翻訳中の 300年前に刊行された論文からカロリング朝貨幣に関する部分の一部をサンプルとして持ち込みました。「これ自分は欲しいけど読みたい方が他にいるのだろうか？」と迷いつつご意見を聞いたところ、何人かの方から製本したら欲しいと仰ってくださる方がいて意外でした。頒布数はこの二年間とあまり変わらず。会議机半分のスペースではもう既刊が全て乗らないので廃盤するか迷っていますが、特にモノクロ表紙の何かしら 1冊は手にされていますので出るのでコミケやコミティアでは少しだけ持ち込むスタイルを継続しようと思います。
また、ろうきん金貨考察本は COMITIA では頒布しなかったもののお問合せをいただきありがとうございました。今月末に開催される秋葉原「超」同人祭＋ではスペースが会議机 1/4 のため他の頒布種類は絞りますが、ろうきん金貨考察本は頒布します。ただし元々あまり刷らなかったので欠品時はご容赦ください。
翻訳中の「フランス貨幣に関する歴史的論文第2期カロリング朝」これはルイ14世の晩年の頃に執筆されています。
小ピピンを終えてシャルルマーニュが半分を超えたところ。奇数ページに原文、偶数ページに和訳で対訳を意識して進めてますが図版ありでこれ。
古フランス語とラテン語まざりで、意味の通らないところは注釈追加。ある程度まとまった時間と集中力がないとできないのでどこまでできるか・・・。

2023.04.29 [雑感] TICC
1日目、2日目とお昼前から参加。今年は海外業者が多数で会場内はまるでコロナ禍までの混雑状況ままの活気ある状態が終了時間まで続いていました。
以前は写真やカタログだけで現物を持ってこなかった海外業者は現物を持ってきていたものの「後で送付」という方式で、円安金高のダブルパンチも相まって海外からの希少なギニー金貨はものすごい価格帯。現物を見て決められるのはその場で持ち帰れないのは何とも心理的な抵抗感がありました。また、現物を持ってきている所も例年に比べて在庫が少なめで今年は入手なし？と思っていたところ、初日に収集対象に引っかかるものを 1点、2日目には範囲外で 1点を入手という結果でした。
France. Louis XV. 1720 1/3 Ecu ou petit Louis d'argent. Paris mint.

2023.03.29 [同人誌頒布] COMITIA144 配置場所「お49a」 (2023.04.03 改訂)
COMITIA は二次創作作品の頒布は禁止されているため、なろう作品の貨幣考察本の頒布ございませんのであしからず。
既刊在庫がとらのあなさんから返却されました。机に並べられるだけの種類を持ち込みます。

2023.03.01 [雑感] ・・・はい？えっ、うそ・・・待って、くぁzwsぇdcrfvtgbyhぬjみこlp
昨年末のコミックマーケットであるお話を聞きまして、アニメ放映したら改訂しようと思ってるんですよ？とあの時は答えたんです。
献本するにしても貨幣考察だけじゃアレだろうと代表作を同梱して送ったところ・・・！？原作第365話いちばん下までスライドしてみてください。
限界オタクムーブのあの描写、あれ本当にそうなるんですね。いつものように連載を読んでいたら言及があって度肝抜かれました。無事に届いて何よりです。

2023.02.20 [同人誌新刊] 「老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます」の貨幣考察
1月から放映開始されたアニメ作品。原作に登場する金貨が実際に存在するとしたらそれはどのようなものか何か？小説家になろうに掲載された時期からその頃の貴金属地金価格・手数料から試算して、おそらく作者が想定していたであろう金貨の特定を試みました。この数年の貴金属価格の高騰ぶりから原作と違って、アニメ内ではざっくりとした換算値に置き換わっていますが、その金貨を具体的に換金したら幾らだとか、あまり触れている作品が少ないのであれこれと考察しています。
同人書店のとらのあな通販、メロンブックスの通販、および秋葉原1号店でもお取り扱い頂いています。本書は、二次創作扱いとなるため COMITIA では頒布しません。コミックマーケットは夏は不参加。冬に当選した場合のみ持ち込みます。また BOOTH通販では既刊もございますので、併せて検討いただけましたら幸いです。

2023.01.28 [雑感] 当サイト開設 20年/同人誌制作から 15年を迎えました。
普段持ち歩いて気軽に鑑賞するような類の趣味ではないので写真をネットからいつでも楽しめるものを目指して制作を開始。思い返せば制作を始めた 2004年頃は、貨幣収集を趣味とする方が写真を公開している Webサイトも数えるほどしかありませんでした。
現在では多く取り扱われるようになったスラブも国内で普及し始めたのは 2006年頃からで、磨耗具合を示す用語が具体的にどのくらいの状態を指しているのか？カタログや専門書にどのようなものがあるのか？業者間でぶれる磨耗度判定とその価格帯の妥当性を習得するには相当な時間と費用をかけて経験を積む必要があり、収集に必要な情報を集めるだけでも相当な苦労をした覚えがあります。今は本当に便利になりました。
色々と試行錯誤を重ねて解説を付けていた頃もありましたが、煩雑で見づらくなるので語りたいことは自主制作同人誌という形に切り出して。当サイトは収集テーマ毎に分類番号と写真を掲載する現在の形になっています。
あとどのくらい続けられるのか正直分かりませんが、無理をしない範囲で継続できればと思います。

2023.01.16 [同人誌頒布] メロンブックス様でのお取り扱いが開始されました
同人誌即売会にて兼ねてより委託しませんか？とお誘い頂いていたものの手元在庫が少なすぎて見送っていましたが、欠品した既刊の改訂・増刷後 C101 でも少なくない方に「初めて知った」と声を頂きましたので委託の追加となりました。実店舗の有無がどのくらいの差になるのか様子を見ながら委託品目を決めていきたいと思います。

2023.01.03 [謹賀新年] 本年もよろしくお願いいたします。
ここ数年は一部完集からの入手難で迷走していた感じのある収集状況でした。今年も入手難に変わりなさそうですが好みのものを焦らずじっくり取り組めればと思います。

2022.12.31 [御礼] コミックマーケット101
昨年末 C99A に比べるとブースの前を通る人の流れもコロナ前を彷彿とさせるような状態でしたが、チケット制になってからふらっと立ち寄る方は少なくなりブースを訪れてくださる方は遠目に見てもそれと解る方が多いような印象でした。今回もお話をお聞きすると何故それを！？という方がチラホラいらして的確にお答えできたか分かりませんが、なかなか濃いお話をする機会が多くて驚きました。同人誌を手にしてくださった皆様に厚く御礼申し上げます。何かしらお役に立つ内容であることを願っています。
それではよい年をお迎えください。

2022.12.29 [雑感] 今年を振り返る
今年はちゃんと数えているものは金貨で10％、銀貨85％、銅貨5％と圧倒的に銀貨が殆どを占めていました。但し、費用面では総額の半数を金貨が占めています。
ここ数年はこんな感じで地金の高さから昔に比べて積極的に金貨を入手できずにいましたが・・・遂にやりました。裏面に聖ジョージの龍退治ではミント別にあげると無印 : 英国、オーストラリア (S : シドニー、P : パース、M : メルボルン)、カナダ (C : オタワ)、インド (I : ボンベイ)、南アフリカ (SA : プレトリア) の 7種がすべて揃うのはジョージ5世のみ。このうち UNC に厳選すると難しいのはカナダ、次にインドの順でしょうか？状態問わずなら左程難しいものではありませんが、似たような雰囲気で揃えようとしたので結果的に開始から完了まで 10年を超えました。
計画的に予算管理をして目的のものを焦らずじっくり狙って取り組む。まさに「継続は力なり」を身を以て実感できる点も収集の醍醐味なのかもしれません。

2022.12.20 [更新] ミラノ公国グロ銀貨
ミラノ公となったルイ12世のグロッソ銀貨には、紋章側12時の位置にある小さな極印は聖アンブロシウスの顔、十字架の 2種類あります。カタログ上は同じものとして分類されていますが十字架のものはソルディ銀貨とおなじなのと、あまり見ない感じなので極印誤りなのでしょうか？

ルイ12世年銘なしミラノ公国発行 6スー相当のグロ銀貨
Italia / Miran, Louis XII. ND (1499-1512) Gros royal de 6 sous.

2022.11.12 [同人誌頒布] コミックマーケット 101 に当選しました。2022.12.31(土) 配置場所「東ホ51b」

2022.11.06 [雑感] 今回フロアオークションは以前にも増して
稀少品や銘品でスラブの数値が高いか、見た目の雰囲気が良いものは応札が集中する傾向にあったものの・・・何でしょうね。今回の英国貨は粒ぞろいで確かに納得というものも多くありましたが、なかには「それ地金ですやん」という感じの有り触れたはずのものですら感覚的に数倍の高値で競られたものがあって意外でした。
今回のお目当ては 1点のみ。TICC で某海外業者が持ち込んでいた某貨、売値を聞いたらあまりの数字だったので見送ったものが出品されていたのでオークションに行ってきました。現地で下見すると写真では見えない汚れなどがあったので低めの上限を決めて参加。どうしても入手したい！というものでもなかったので TICC で言われた売値の 6割まで、最後は某業者さんと一騎打ちになり結果は見事に撃沈。国内では出にくいものですが、現存数はあるのでそのうち巡り会えることでしょう。本命の額面・重量のものが出たらもう少し頑張っていたかもしれません。

2022.10.21 [不定期連載] 18世紀から英国で刊行された Lloyd's List にある取引品目の貨幣について (その1)
ロイズリストにある地金や貨幣は 9品目で馴染みあるものとそうでない紛らわしい表記が混在しています。それぞれの取引価格は重量 1オンス (貴金属なのでトロイ衡 1 troy oz. = 31.1035g) あたりで掲載されていますが、新ルイのみ 1枚あたりと別途明記されています。

- 金貨 (Gold in Coin) / ポルトガル金貨 (Portugal Gold, in Coin)
当初は金貨 (Gold in Coin) とだけで 1720年代からブラジルのゴールドラッシュで金貨が大量に流入してきた頃にあり金貨と言えばポルトガル本国およびブラジルの金貨を指していました。ポルトガルやブラジルの金貨は貨幣改鋳において、貨幣単位当たりの金量は金貨の純度を変えずに重さで調整しているため、金貨の重さが変わらなければ含有量も一定でした。 1798年からポルトガル金貨 (Portugal Gold, in Coin) に表記が変わります。おそらく後述されるスペイン金貨と区別するためでしょう。
- 金地金 (Gold in Bars) / 外国金地金 (Foreign Gold, in Bars)
金地金 (Gold in Bars) も途中から外国金地金 (Foreign Gold, in Bars) のように表記が変わります。従来は金貨の価格推移と比べてもほぼ変わらないことから英国標準金 (British standard gold = 22 carat) であろうと思います。ただ、名称変更後のものは現在で言うところの試金鎔解印 (Assayer's mark, Melter's mark) が、英国外であっても英国標準金であったのか細かい部分は分かりません。
- 新ダブロン金貨 (New Doubloon)
ロイズリストでは 1801年10月末から新ダブロン金貨が追加されます。ここで言う金貨は 2エスクードではなく当時スパニッシュダブルーンとも呼ばれた 8エスクード金貨を指します。スペインの貨幣改鋳は、貨幣単位当たりの金量は貨幣の重さではなく純度で調整していました。そのため「どの時代の」ダブロン金貨なのか？は重要な要素でした。ポルトガル金貨を基準に取引価格から逆算すると純度はおよそ .875 前後。これはカルロス3世の 1789年からの純度ですが 1772年から 1788年までのダブロン金貨と極印の違いはありません。わざわざ「新しい」と表記しているので改鋳された金貨を指していると考えれば 1791年からのカルロス4世肖像を「新ダブロン金貨」を意味すると考える方が自然です。
- 新ルイ金貨 (New Louis, each)
ロイズリストでは 1795年2月から 1820年初までの短い期間にだけ新ルイ金貨が追加されます。ルイ金貨もポルトガル金貨と同じように英国標準金と変わらない純度だったが、何故これだけ 1枚あたりとされたのか？価格の掲載数の少なさからも「量売り」で取引できるほど扱われなかったのかもしれない。 1枚あたりの価格はソブリン金貨より若干低いため 1786年からの 16世最終肖像のルイ金貨と考えてしまいそうになる。ところが、新ダブロン金貨のところで考察した「新しい」という言葉を、「新しく改鋳された」という意味に捉えると 1793年銘の天使立像がある 24リーブル金貨 (ルイ金貨) を指していると考える方が自然です。この金貨は 1年銘しか発行されてないため稀にしか取引価格が出てこない点と矛盾しない。

ダブロン金貨やルイ金貨に「新」とある点に注目すれば、以下のように特定できたと言えるでしょう。
- 金貨 (Gold in Coin) / ポルトガル金貨 (Portugal Gold, in Coin) = 種類は問わない
- 新ダブロン金貨 (New Doubloon) = カルロス4世 8エスクード金貨
- 新ルイ金貨 (New Louis, each) = 天使立像のある 24リーブル/ルイ金貨
その時代を生きた人々にとっては「新しい金貨だね」と当たり前のように受け入れていたものは何か？という視点で追いかけて、その言葉が差している金貨を特定した後では「新○○」の表現も理解はできます。ただ何となく過去に「新しい○○」という商品名を付けようとして、未来に思いを馳せればその品名はないよねと某社が大顰蹙を買って廃案になった出来事を思い出しました。「新発売」くらいに留めて欲しいものですね。次回に続く。

2022.10.20 [不定期連載] 18世紀から英国で刊行された Lloyd's List にある取引品目の貨幣について (その0)
18世紀から英国で刊行された海事情報誌のロイズリスト (Lloyd's List) には船舶の出航寄港情報だけでなく、当時の株式債券の売買価格、手形為替の取扱手数料、貴金属地金や硬貨の売買価格などが掲載されていました。ロイズリストのうち 1740年から 1826年までを集めたリプリント版が 1965年に刊行されています。残念ながら失われた刊行物もあり何年かの隙間はありますが、そこには産業革命やナポレオン戦争後の貨幣改鋳などの英国貨幣において重要な期間が含まれます。
ギニー金貨は何故発行されなくなったのか？何故スペイン銀貨に銀食器用の検定印を加刻印しなければならなかったのか？いずれも当時の貴金属流出や地金不足と説明されますが具体的に鋳造貨幣とどれくらいの開きがあったのか詳しい解説を見る機会は少ないように思います。その当時の取引相場は一次史料として申し分ありません。今年の春先から約二ヶ月かけてデータ化して調べていましたが、ここで整理のために解説しながら一部を公開してみたいと思います。
- 金貨 (Gold in Coin) / ポルトガル金貨 (Portugal Gold, in Coin)
- 金地金 (Gold in Bars) / 外国金地金 (Foreign Gold, in Bars)
- 新ダブロン金貨 (New Doubloon)
- ビラ― ラージ (Pillar Large)
- ピラースモール (Pillar Small)
- メキシコラージ (Mexico Large)
- メキシコスモール (Mexico Small) / 新メキシコ (Mexico New) / 新ドル (New Dollars)
- 英国標準銀の地金 (Silver in Bars, Standard)
- 新ルイ金貨 (New Louis, each)
ロイズリストにある取引品目はこの 9点。何のことなのかすぐに判るものとそうでないものが混在していますので、次回はこれを紐解いてきます。お楽しみに。

2022.09.05 [御礼] COMITIA141
ブースにお立ち寄りくださり、同人誌を手にしてくださった皆様ありがとうございました。今回は意外にも C99A に比べると目の前を通る方々は倍くらいで、夏コミから3週間後にしては賑わっていたのが印象的でした。幸い雨にならなかったもののシャッター開放時の湿気と暑さが大変で、撤収時の体力消耗ぶりが厳しいと改めて実感したのでやはり夏場の参加は今後控えたいと思います。直近の同人誌即売会では 11月のコミティアは不参加。冬コミに申込をしていますが落選しても、来年2月のコミティアに申込をしない予定です。

2022.08.20 [同人誌頒布] 2022/09/04 COMITIA141 配置場所「て27a」に出展します
夏場の同人誌即売会は長らく不参加にしていましたが、今回「ヴィクトリアン・コインエイジ I/II/III 総集編」「カリブの海賊共と私掠船に狙われた財貨」 2冊も改訂版を制作したので (山のような在庫を眺めながら申し込みに間に合った) COMITIA に参加することにしました。絶対に手元に残り続けるだろうと思っていた 2020年5月刊行「オリエント地域諸国やアラビア語圏の貨幣収集」はお陰様で既に手元在庫はありません。それ以外の (コミックマーケットだけの頒布を除いた) 既刊を持ち込みます。同人誌即売会カタログ「ティアズマガジン」購入者のみが入場できるシステムでコミックマーケットの事前購入・時間指定に比べると参加しやすい即売会かもしれません。

2022.07.06 [雑感] 某オークション
今回も有名な稀少品から、知る人ぞ知る稀少品まで色々と出品されているので迷いますね。乏しい予算から何にするかどうするか？決めあぐねているものの、当サイトが10年以上も探してたものが出ています。国内で出品されたことに驚きです。下見の候補は20点ばかり、現物の状態を見てからどうするか決めようと思います。それは何なのか？もちろん内緒です。
今回、出品物の説明が間違っているものを見つけてお伝えしたところ出品取消。物は良いのでおそらく今後再出品されるのではないでしょうか。

2022.06.21 [更新] フランスシャルル6世ブラン貨「ゲナール」を入手
印刷所から本が届いた翌日。都内某所に落札品を受け取りに行きました。そうあの日の最優先目標はこちらの劣位銀貨。何の変哲もないものですがこの手のものは何かしら欠点があるものが普通なので雰囲気抜群な VF/EF であれば十分です。
他のものと撮影機材が違うので色味の調整が合っていません、そのうち撮影し直すかもしれません。

2022.06.18 [同人誌] 2冊の改訂版が届きました
本日届きました。同人誌を制作していて何が楽しいのか？制作時は苦労の連続、製本後に誤植を見つけて凹むことも多いですが、時間をかけて丹精込めて制作したものが形になり届けられ、開封するこの瞬間が堪りません。何しろ自分の理想を追いかけた本ですから。
Pixiv-BOOTH通販は自家通販・匿名発送で少部数のみ先行して登録してあります。
(2022.06.21追記) 6/17 夜の公開だったのに当日中にご注文くださった方、いちばん最初に登録3冊を一括にご注文くださった方にささやかなオマケを同封しました。Twitterで反応くださった方もありがとうございます。
従来からの委託先には月末の発行予定日 2022.06.30 前の納品を目指して手続き中です。今しばらくお待ち頂けましたら幸いです。

2022.05.25 [同人誌] ご要望にお応えして、既刊2作品を改訂・増刷いたします。
兼ねてより増刷のご要望をいただいていましたが、過去に制作した入稿原稿の仕様が古いため、従来の「縦書き2段組」ではもう書き換えで対応できないことから「横書き段組なし」に仕様変更をして書き換えていました。その結果 1ページ当たりの情報量が増えたことで、以前の制作時には所蔵してなかった貨幣などを追加しても「総集編」では総ページ数が減る結果となっていますが、どちらも収録内容は変わりません。
今のところ 2冊とも 2022.06.30 発行予定。お取り扱い先については現在交渉を進めておりますので、今しばらくお待ち頂けましたら幸いです。

ヴィクトリアン・コインエイジ総集編改訂版 A5判 100p → 92p に変更。令和2年の平均給与所得を盛り込んで最新差分を追加。

カリブの海賊共と私掠船に狙われた財貨改訂版 A5判 36p のまま変わらず。16世紀から 19世紀初頭にかけての貨幣写真を大幅追加。

2022.05.21 [更新] 明治4年銘旧1圓金貨
本邦初の「本位金貨」ですから外国金貨を収集していても気になるものです。どこかしら欠点のあるものが多い印象のある旧金貨ですが、雰囲気のよい AU/UNC を探そうとすると苦労するのは気のせいでしょうか？財務省放出前からソブリン金貨の対比として旧5圓金貨を探していますが、現在に至るまで未だに気に入った状態の物に出会えていません。別に MS65 とかを探している訳ではなく AU/UNC で十分なんですが・・・そのうち見つかると気長に探しています。

Japan Meiji 4 (1871) 1 Yen.

2022.05.05 [御礼] COMITIA 140
今回は特別な試みとして、事前にお声がけさせていただいた方に限って中世フランス金貨ほかを直接ご覧いただきました。過去に金貨を展示していると「触らないでください」と貼り紙をしても、必ず何人かは勝手に手を伸ばして触ってくる方が出ます。その時は割り切って VF のギニー金貨やソブリン金貨だけを展示してましたが、純金に近い中世の打造金貨はそうもいかず、些細な力で曲がってしまい曲がったらそれで終わりなので内心ドキドキしていました。皆様とても丁寧に取扱っていただき不慮の事故もなく無事に終了いたしました。ありがとうございました。
最近の金価格高騰を話題にされる方も多かったものの、中世の貨幣はただでさえ難解なのにこれ1冊で理解できる！ような日本語で解説した市販本が見当たらないので興味の分かれるところが大きいか、歴史として百年戦争やジャンヌダルクは知っていてもその時代に遣われた通貨をそもそもご存知ないという方が多いような印象でした。見本誌を読んで全然わからんと仰る方とこんなに内容が濃いのかと反応は極端に分かれます。説明すると驚かれる方が多いのでその反応がとても新鮮に映り、「あっ、実際に集めはじめるまでは自分もそうだった」と思い起こさせます。
通路を行きかう人の流れはコロナ前と同じくらいで活気があり、頒布数も COMITIA としては例年通りで 3年前に戻ったような気分でした。年々読み手を選ぶものばかり制作している中でもフルカラーを手にされる方が多いのが印象的でした。既刊を改訂する時にはフルカラーを選択肢に入れたいと思います。ブースにお立ち寄りくださいました皆様に厚く御礼申し上げます。
「中世フランスおよび諸侯の貨幣」で p31-32 の通用価値に誤記を発見しました。同人誌のページに訂正内容を掲載しておりますので併せて参照いただけましたら幸いです。

2022.05.02 [雑感] 3年ぶりの TICC は疲労は大きく収穫乏しく
初日は11時頃に会場着。同時開催のオークションでは銘品は1億を超えるものがチラホラあり過熱ぶりが伺えましたが、海外業者は半数ほど不参加という感じで。持ち込まれたコインはいずれも想定より 2～3割高い印象でどうしても入手したいものは殆どなく金貨と銀貨をそれぞれ1枚、他は数枚のみを入手。2日目はお昼過ぎに会場に行って国内業者さんのマイナーブックを丹念に見てから外国コイン研究会セミナーのお手伝いに参加。例年なら海外業者さんを交えた飲み会が行われていましたがコロナ禍を鑑みて不開催でした。3日目も行くつもりでしたが体力を消耗していたようで気付いたら夜でした。

Britain Victoria 1869 Sovereign Rev/die no 3.
Persia Nasir al-Din Shar ND(AH1271-75) 1/2 Kran.

2022.04.17 [更新] ブラジルの銅貨
スペインは貨幣の貴金属純度を変えているのに比べて、ポルトガルやブラジルは貨幣の貴金属純度をそのままに通用額面を変えており、執政王太子ジョアン (後のジョアン6世) は 1809年、これまでの銅貨にポルトガル紋章の加刻印することで表示額面からの 2倍通用として、銀貨は 75 / 150 / 300 / 600 から 80 / 160 / 320 / 640 に改められています。銅貨として素材も重さも同じなのに額面が途中で違っている点は現在の貨幣に見られない特色なので、この年代の中南米の貨幣に面白さを感じます。

ジョゼ1世 1773 あるいは 1775年銘 20 (XX) レイス銅貨リオデジャネイロ鋳造
後のジョアン 6世となる執政王太子により 1809年に紋章が加刻印されて 40レイス通用とされたもの
執政王太子ジョアン 1820年銘 40 (XL) レイス銅貨リオデジャネイロ鋳造

2022.04.12 [雑感] 最近のフロアオークションは逸品が多すぎる件
都内で開催されるフロアオークションの出品物のリストや画像を見てると、この10年くらいでは日本で出品物が競売されるとは想像付かなかった銘品どころか度肝を抜かれる稀少品が割と出てくるようになってきました。昔は NYINC オークションや海外有名オークションくらいでしか一堂に見られなかったものが 1点、2点どころではなく、もはや隔世の感があります。
そんな中で現時点の限りある予算から何を収集するか、どれを選ぶべきか？
特に円建て金価格は未踏なところに突入しているため、特に金貨は次にこれと決めたものが出てきた時に備えて「じ——っ」と我慢をしています。雌伏しすぎて眠りこけているかと思うほど最近は収穫がありませんが......
ただ優先度が高くはないけど低くもないもの度々は出てきています。手を出すべきか待つべきか判断する基準は「次に出てくるのは何時なのか」で、次をまったく想像できないものに遭遇すると決心は揺らぎ寄り道もしています。主たるテーマでほぼ収集を終えて対象が狭まっていてこれですから、まさに熱心に収集している過程にある方はとても焦れて悩まれているのではないでしょうか。
無理して次に本命に手を出せなくなる危険性をとるか？見送って後悔するか？その時に頭に浮かぶのは、もし手にできなかった場合に「合理性のある決断を自分自身で行えたか？」これで納得さは変わると思います。入手できなかったのか入手しなかったのか。その違いは割と重要ではないでしょうか。

2022.01.01 [謹賀新年] あけましておめでとうございます
二年前に比べると世間も日常を取り戻しつつあるので、今年は感染対策をしっかり行いつつ収集を楽しめればと思います。当サイトではタイトルに掲げた貨種のうちまだ数点が未集なので引き続き探していますが、何でもいいという訳でなくスラブ封入品を探している訳でもないので旅はまだ続くことでしょう。このところ寄り道をしていた中世フランスもひと段落しましたが、収集対象には高額品もあるので数年は準備の年になるのではないかと予想しています。
昨日のコミックマーケット99では事前チケット制で参加者は従来の3割、開催されてみると例年とはやはり様子が違っていました。もともと配置先は人通りが多くないものの先行入場時間帯の 11時半までほぼ誰も通らず、12時半頃に東西通路は開放されて人通りが増えたものの 13時半には元に戻るような感じで全体的には先月のコミティアより少なめの印象でした。頒布数も例年の3割ほどと参加者数に比例した形に落ち着いていましたので区画毎の参加者数制限は大きく影響を与えていたのだろうと思います。そんな中でブースにお越しくださり同人誌を手にしてくださった皆様に厚く御礼申し上げます。

2021.11.22 [御礼] COMITIA138
ちょうど 2年ぶりの参加は、解体前の青海展示棟でした。13時を過ぎて入場チケット代わりの「ティアズマガジン」は完売、感染対策でその後のフリー入場がないため人波が途切れてそのまま閉会という感じでした。年末のコミケも事前チケット制になるため、似たような状況になるのかもしれません。
今回もブースにお越しくださった方は 30名前後。年齢層の幅広さ、男女比も過去の傾向と変わらない印象で、うち 7割強の方に頒布されていきました。新刊はいずれも結構マニアックなものなので頒布予測が付きにくかったものの、なんと「オリエント地域やアラビア語圏の貨幣収集」の方が手にされ当日搬入分は完売。いずれも読み手を選びそうな内容なので「えっ、そっちですか？」と新鮮でした。厚く御礼申し上げます。皆様が手にされた同人誌がご期待に応える内容でありましたらと願っています。

2021.10.24 [同人誌頒布] COMITIA 138 に当選しました。配置場所「く-13b 」 (2021.11.02 改訂)
2021年11月21日(日) 11:00〜15:00 東京ビッグサイト青海展示棟A・Bホールは、従来の臨海線国際展示場 / ゆりかもめ東京ビックサイトではなく、臨海線東京テレポート / ゆりかもめ青海が最寄り駅です。また、同人誌即売会の COMITIA は開催毎に刊行されるカタログ「ティアズマガジン」が入場証となっており Covid-19 の影響で準備数が限られているそうです。事前に書店で入手されることをお奨めします。

2021.10.20 [同人誌] 新刊「中世フランスおよび諸侯の貨幣」とらのあな通販で予約開始
最終的に A5判44p 表紙込み全文フルカラーで決定しました。少ロット印刷でフルカラーのため既刊より高価になっているためご注意ください。
とらのあな「中世フランスおよび諸侯の貨幣」 2021.11.21 通販予約ページ
－目次－
・はじめに: 打造貨幣とは何か？ / 中世フランスの貨幣収集ではどの期間で区切るべきか？ / フランス王国カペー朝、ヴァロア朝、ブルボン朝・第1章中世フランスと周辺諸侯の通貨単位と度量衡 / 中世フランスおよび諸侯 : 中世フランスの通貨単位 / 中世フランスの貨幣量目 / 中世イングランドの貴金属量目 / 中世フランスの貴金属量目 / カラット、ドゥニエ、グレインによる貴金属純度の一覧 / ボルドー貨、トゥール貨、パリ貨の交換比率・フランドル伯 : フランドルの通貨単位と計算単位の換算・ブラバント伯 : ブラバントの通貨単位・第2章フランス王と周辺諸侯の貨幣 / 貨幣一覧の読み方 / 同じ貨幣でも通用価値が別の貨幣単位で記されている場合の読み方・神の子羊たち : カペー朝時代の子羊たち / 大きな羊毛の子羊 / 小さな羊毛の子羊 / 中世の帳簿にある貨幣の呼び名は、具体的にどの金貨を指すのか？/ フランス諸侯が発行した神の子羊 / 神聖ローマ帝国リエージュ伯が発行した神の子羊 / フランドル伯が発行した神の子羊 / ブラバント伯が学校した神の子羊・椅子に座った金ドゥニエ・盾の金ドゥニエ・フランス諸侯が発行した盾の金ドゥニエ : フランドル伯が発行した盾の金ドゥニエ / ブラバント伯が発行した盾の金ドゥニエ・国王騎馬肖像のフラン金貨 : フランス諸侯が発行した国王騎馬肖像のフラン金貨 / フランドル伯が発行した国王騎馬肖像のフラン金貨 / ブラバント伯が発行した国王騎馬肖像のフラン金貨・国王立像のフラン金貨 : フランス諸侯が発行した国王立像のフラン金貨 / プロヴァンス女伯が発行した国王立像のフラン金貨 / フランドル伯が発行した国王立像のフラン金貨・王冠エキュ金貨 : フランス諸侯が発行した国王立像のフラン金貨 / ジャンヌダルクの鎧の値段 / ジャンヌダルクの身代金・エドワード黒太子のノーブル金貨・ルーヴェンの守護聖人ペテロの金貨・百合紋章の低品位なグロ銀貨・百合紋章のブラン貨・二つの盾のブラン貨・第3章打造貨幣の取扱いと保管方法 / 特に打造金貨は純度に気を付ける・収納用具の長所と短所 : コインキャビネットとタグ / 35mmフィルムパック＋コインホルダ / 35mmフィルムパック＋ダブルポケット / コインアルバムおよび、スライデックスアルバム / コイントレーおよびトランク / プレゼンテーションケース / スラブケースおよび、スラブ用トレー・磨耗度判定 : 未使用 / 極美品 / 美品 / 並品 / 佳品 / 劣品・磨耗以外の要素 : 破損極印や磨耗しきった極印による打刻 / 平金の割れ欠け / 二重打ちや弱打ち / 波打ちや歪み / 折れ曲がり / 削り取り / 変色 / 錆および、腐蝕 / 洗浄品 / 修正品 / 鑑定会社による評価とスラブ封入品・最後に・付録 : 貨幣写真 / 参考文献・奥付

2021.10.08 [雑感] 久しぶりのフロアオークション
気になるものが出ているので下見の予約を済ませました。最近は催事やオークションでも既集品を追加で入手するかどうか？という感じなので、直近のオークションについて事前にあれこれ書くことが少なくなりましたが、手の届かない高額な稀少品だけでなく幅広い品目で出品があるので期待しています。今回も 10点ほど下見をして最終的に 1～2点に絞り込みますが、もし満足できない状態なら見送るかもしれません。
来月にもあるので限られた予算をどちらに振り向けるべきか悩みますね。その悩んでいる時間こそ収集の醍醐味のひとつだと思っています。

2021.09.29 [更新] 「ヴィクトリア女王戴冠50周年肖像ハーフソブリン金貨の私的バラエティ研究」を追加

2021.09.25 [更新] 「オリエント地域諸国やアラビア語圏の貨幣収集」正誤表を追加

2021.09.17 [更新] リンクを追加
「貨幣博物館カレンシア」個人で運営されているウェブサイト上の私設博物館。
「あの～こちらのWebサイトからリンクしてもよろしいでしょうか？」「どぞ」という、いにしえのプロトコルを行使して許可をいただきました。

2021.08.21 [お知らせ] 今後の同人誌頒布について ★新刊仕様について 2021.09.25 追記
長年に亘って収集されている方ならご存知かと思いますが、ここ 10年あまりで収集環境は大きく様変わりしました。そのため当サイトの同人誌は長期間の頒布を見越して情報の鮮度が落ちないような構成にしていますが、既刊の幾つかは内容が見合わないようになったことを鑑みて最新刊などの一部を除いて手持ち在庫が欠品する既刊は廃盤。委託先にある在庫のみとさせていただきます。
中世フランス貨幣を扱った既刊から 3年半。あれから百年戦争期の 1リーヴル金貨がようやく完集しましたので収集という切り口で内容を刷新。(開催されるならばですが・・・) 冬コミに合わせて現在鋭意執筆中、A5判44p表紙込み本文モノクロで決定しました。

2021.08.01 [更新] 新機材による写真追加
現在の発行貨は全面がプルーフのような仕上げのものがありスキャナでは撮影が困難で諦めていましたが、長年使用してきた撮影機材がとうとう使えなくなり更新したところ条件のよっては綺麗に撮影できることが分かりました。しかし、銘文などに比べて肖像の凹凸が少ないものは難しいようで 2015年銘以降の JC 肖像のソブリン金貨などは試行錯誤しています。
[英国]-[十進法貨幣] に 1ポンド銀打ち貨などの画像を追加しました。

2021.07.11 [更新] 待望の文献が！
1987年開催のクリスティーズオークションカタログ「ガリアコレクション」の存在を教えていただいてから待ち望んでいました。カペー朝以降の共和制までの歴代フランス王の発行した金貨がほぼ勢揃いで、稀少品は当然のこと極印違いなども収録されています。特に中世は Duplessyカタログを (一部はカラー！) 写真にしたような充実ぶりでこの規模のオークションはそうないのではないでしょうか。近年MDCオークションで出品された中世フランスの稀少な打造金貨もなかなか良かったのですが、それ以上の収録内容で単なるオークションカタログというだけでなく資料としても有用です。
それも表紙がポストアート紙の通常版ではなく、少部数のみ制作される布貼り装丁の特装版とは！この場を借りて、厚く御礼申し上げます。

2021.06.22 [更新] World Coins Japan - 書籍販売および [貨幣収集と研究]-[参考文献]
改訂されたWebサイトに合わせて、お取り扱い頂いている同人誌の通販ページの↑リンク先URLを変更しました。また、表紙画像は追加していませんが参考文献に EGC/ESC の所感を追加しました。

2021.05.04 【御礼】 #エア東京国際コインコンベンション #AirTICC 【楽しかった時間はあっという間】
思い付きで始めた企画だったものの約30名あまりの方々による 120ツィートを超える参加がありました。稀少品から見慣れたものまで幅広い貨幣や紙幣が続々と登場して見どころ満載。普段の Twitter で接点のない方も続々と参加くださり、まるで TICC の会場で見知らぬ方と不意にコイン談議をする感覚のまま心地よい疲労感と楽しい時間でした。
開催期間 2021.05.01 00:00 ～ 2021.05.03 23:39 でした。期間中にご参加された皆様ありがとうございました。

2021.04.29 【楽しいことを】 #エア東京国際コインコンベンション #AirTICC 【はじめよう】
今年も直前になって東京国際コインコンベンション (TICC) の中止が決まって残念すぎるので、開催予定だった日程で Twitter にて #エア東京国際コインコンベンション #AirTICC タグを使って、自慢の逸品(※) をアップして何故それを収集するのかその魅力をツィートをして楽しみませんか？と呼びかけたところ、幾名か参加してくださる方がいらっしゃるようなのであまり連投にならない範囲でツィートを行います。
※「自慢の逸品」は取引額の多寡ではなく思い入れのある古錢や旧紙幣を指します。
これらの趣旨にご賛同いただける方は期間中に「#エア東京国際コインコンベンション」および「#AirTICC」のタグをつけて、皆さんがどんな思い入れで収集しているのか？ぜひ発信してみてください。念のため TICC の名前をタグに含むので古錢や紙幣は「本物」のみとします。贋物や私製偽造品など見分け方が難しいものは避けてください。言い出しっぺの法則を採用して以下の日程で開始と終了の合図を行います。
2021.05.01 00:00 頃に開催のご挨拶ツィートを発信。2021.05.03 23:55 頃に終了のご挨拶ツィートを発信する予定です。
【ご注意】このイベントは日本貨幣商協同組合(JNDA) 非公式で、有志が勝手に楽しむものですので誤解のないようにお願いいたします。

2021.04.17 [更新] フランス王国ジャン2世 ND (1355) ムートン金貨
現在では「金の羊 (Mouton d'or)」と呼ばれるこの金貨は、ポワティエの戦いの後に造られた。ヴァロア朝以前までの羊の周りにある縄飾りが真円の「金の子羊 (アニエルドール Aignel d'or)」とは呼び方で区別されていますが 18世紀末の文献では「羊や子羊の金ドゥニエ (Denier d'or a l'Moutons et l'Aignels)」のように一緒くたに表現されている場合もありますが、この大きなムートン金貨だけを指す時には約4.5gを超える重さを踏まえて「子羊のフロリン (Florenorum ad agnum)」とも呼ばれ、需要が多かったようで低地諸国や諸侯でも模倣貨が発行されています。
当時の為替を参照するとジョン2世の座像エキュ金貨発行貨はパリ貨で 20ソル、低地諸国の発行貨はパリ貨で 14ソル。低地諸国のムートン金貨は若干軽くて純金より低い純度であったものの 3割もの差があったのは驚きです。

2021.04.13 [更新] 中世フランスのアニエル金貨とムートン金貨その2
あんな説明じゃ納得できない！という訳で。もう少し遡ってみると 1783年に刊行された文献に「聖王ルイやその他の Mutones aurei (註釈: ラテン語で金の羊) についての解明」という記述がありました。「子羊のデナリやフロリン、または羊と呼ばれたフランス金貨で価値は 12スー 6ドゥニエ・トゥルノワ」とありますが、フランスの金貨に詳しい方なら・・・あれ Duplessy カタログには、アニエル金貨は 20ソル・トゥルノワ、ムートン金貨は 25ソル・トゥルノワとあるので、ここで説明される通用価値がおかしいぞ？と思われたかもしれません。
「金の羊」による取引例として、イングランドのエドワード1世による借金額に 100 Mutones aurei、その後に百年戦争講和時の費用に 25 Mutones aurei。この時の費用では「金の羊」は 16スー 8ドゥニエとありますが通貨の単位系までは書かれていません (仮にパリ貨だとすればアニエル金貨の通用額面と一致します)。次に年代は不明ですが裁判異議申し立ての費用に「32ソルと6ドゥニエの和である Mutones aurei」の記述があり、その直後にジャン2世の造った金貨の説明があるので、ここでは 1357年には約30ソル・トゥルノワで通用していたムートン金貨を指しているのかもしれません。
このラテン語で「Mutones aurei (金の羊)」とは何を指しているのでしょうか？【次回に続く】

2021.04.12 [更新] 中世フランスのアニエル金貨とムートン金貨その1
神の子羊(Agnel Dei) と呼ばれる貨幣は、前足で十字架に括られた旗を支えた子羊の意匠の貨幣を指していますが、中世イングランドの銀貨やスペインの劣位銀貨、中世のベサント金貨、近世のニュルンベルクのダカット金貨などに存在します。19世紀半ばのフランス貨幣辞典を紐解くと AGNELS の項目に「ムートンまたは子羊の金ドゥニエ (Denier d'or a la Moutons or agnels)」は、純金で造られていたフィリップ 4世からシャルル 4世までのアニエル金貨だけでなくジャン 2世のムートン金貨の両方を指しており、シャルル6世や7世のものは純金でないこと、それぞれの重さや模倣貨についても言及されています。
何故 200年あまりの期間、この金貨が断続的ながら発行され続けてきたのか？前述の辞典では「これで決済するのが好きだったから」と、ちょっと何を言っているのか意味の分からないサンドイッチマンのギャグのような説明で〆られています。（|||＾ω＾）エッ・・・ちょっと大雑把すぎませんかね？【次回に続く】

2021.04.05 [更新] ゼーラント州 6スタイバー銀貨を入手
この銀貨はシリング (Schelling) の一環として収集対象にしていますが、今回もゼーラント州のものでした 1780年代になると紋章側のライオンが磨滅した極印が使われているようで、輪郭しかないものでも平金や文字は未使用に近いものがあります。平均的な摩耗度は FINE から VF と思われ EF 以上を探そうとするには根気がいるかもしれません。

2021.03.15 [更新] 「English Gold Coinage Vol.1 初版」「English Silver Coinage 第2版」を入手
言わずと知れた English Silver Coinage (ESC) が改訂された Bull 版の著者による English Gold Coinage は、収録範囲や内容が一切不明でしたが分冊されるようで ESC と同じ 5cm厚なのに共和制からギニー金貨の終わりまでしかありません。数年前に Coins of England で予告されていたので待ち望んでいました。現状では English Gold Coinage (EGC) の方しか目を通していません。
ESC Bull 版をお持ちの方はご存知かと思いますが、最近のオークション写真が使われた分類が行われているためオーバーデートや銘文違いなどの今まで知られていなかったものが掲載されており稀少度は ESC に準じた記載になっています。ただ、J.J.North や English Milled Coinage (EMC) など、稀少度が書かれた従来の書籍と比べると同じものでも差もあります。昔から Coins of England に掲載されているけれど現物が殆ど出てこないものが未記載だったり、チャールズ2世打造金貨がとても詳細に分類されている一方で、写真ですら明らかに違うと判断できるものでも分けられていなかったりと、まだまだ完成途上なのかもしれません。
この本の存在で 1950年初版/1958年増補版にしかなかったギニー金貨の稀少度が改めて記載されたのは大きな利点でしょう。
この書籍は、共和制からスチュアート朝あたりの金貨を熱心に収集されている方にはとても参考になると思います。ただ、ジョージ1世からジョージ3世第3肖像までの稀少度には違和感があるので、色々と議論を呼びそうな気もします。当サイトの英国のページに EGC 番号を追記しました。

2021.02.12 [更新] 会員カード
外国コインの収集を始めるにあたり催事で知った幾つかのディーラさんを緊張しながら直接訪れた初めての日を思い出します。どんな文献があるか？過去どのくらいの頻度で売り物が出てくるか？（当時はスラブなんてものはなかったので）現物と状態表記についての疑問などにも大変丁寧に回答をいただき理解を深めながら収集を進めるうえでの基礎となっています。これまで発行された12年分の会員カードには英国貨幣が多くを占めていますが他の国々の貨幣も銘品ばかりで毎年何が掲載されるのか楽しみでした。

2021.01.25 [更新] ブラバントのムートン金貨は幾らだったのか？
ブラバントの通貨は計数単位としてリーヴル、ソル、ドゥニエ (Lsd) の組合せはフランスと同じですが、フランスで発行された裏面の十字が内側の銘文を貫いた低品位なブラン貨 (Blanc a la epi は 8ドゥニエ・トゥルノワ) を模倣して、反対側の面にある城や円周に配置された小さな百合を後ろ足で起立したライオンに差し替えたグロ銀貨 (Gros compagnon ou lion) を 1 sol paiment (参照先によっては payment と表記に揺れあり) とした貨幣単位が使われます。
Schneider カタログ第3刊では各地域の通貨単位で何年頃に幾らだったのか書いてある貨幣と書いてないものがあり、グランムートン金貨が 1371年のブラバントの計数単位で 30リーヴル15ソル・ペイメント (つまり、横向きで立ち上がったライオンのグロ銀貨で 75枚相当)とありますがムートン金貨そのものには言及がありません。
その一方で Duplessy カタログにはフランス王家発行貨が発行された当時の通用価値があり 1355年では 25ソル・トゥルノワと言及されていますが 1692年刊行の「Traite Historique des Monnayes de France」を紐解けばそれぞれの貨幣がどの時点で幾らに相当したのか記述されています。 1358年には 30ソル・トゥルノワとあって、1361年にはブラバントとフランドルのムートン金貨は 14ソル・パリジ (17ソル6ドゥニエ・トゥルノワと同じ) と書かれています。
1361年のブラバントやフランドルのムートン金貨 14ソル・パリジを低品位なブラン貨に換算すると 26.25枚相当になるでしょう。
1355年ジャン2世のムートン金貨の発行時価値 25ソル・トゥルノワを低品位なブラン貨に換算すると 37.25枚に相当。これが 30ソル・トゥルノワなら 45枚相当。
この頃は数年どころか日単位で硬貨毎の価値が変動していて、1358年発行の百合紋章ブラン貨 (Blamcs aux Fleurs de Lys) ですら 15ドゥニエ・トゥルノワから 1361年で 8ソル・トゥルノワに変わっていますが、むりやり低品位なブラン貨を 8ドゥニエ・トゥルノワ相当に固定して単純計算してみるとフランス金貨に対してブラバントやフランドルの金貨は 3割安かった？と言えますが・・・今後に続きます。

2021.01.09 [更新] 神の子羊 (Agnus Dei) が描かれた金貨
フランス王家発行貨に「神の子羊」が登場するのはフィリップ4世時代からシャルル4世まで 4.15g 前後で発行されたアニエルドール (Agnel d'or) でした。ジャン2世時代になると少しだけ意匠が変更され 4.70g 前後になった 25ソル・トゥルノワ通用のムートンドール (Mouton d'or) とその半分の重さのムートンネット (Moutonnet) が発行されます。その後、シャルル6世から7世の時代にジャン2世時代のムートンドールと同じ意匠のまま 20ソル・トゥルノワ通用で 2.55g ほどの金貨が発行されていてい、これもアニエルドールと呼ばれているのが混乱の元では...？重さや通用額面と意匠と貨幣名に関係性を見出そうとすると正直訳が分からなくなります。
フランドル伯やブラバント伯ではフランス王家発行の主要な金貨が模倣されておりムートンドールの重さは 4.50～4.70g 前後。 1350年代後半における通用価値はフィレンツェのフローリン金貨に対して 1.25倍で座像エキュとほぼ等価とされていますが、この時代のフランドルやブラバントの通貨単位は難解なので換算については保留中。
Brabant. Joanna and Wenceslas. ND(1357) Mouton d'or. IOh | DVX
France. Charles VI. ND (1417) Agnel d'or. KF | RX

2021.01.01 [謹賀新年] あけましておめでとうございます
今年は基本に立ち返って改めて収集方針を見直す良い機会になるのではないかと思っています。現状では疫病蔓延リスクがまだまだ下がらないため引き続き感染予防と健康に注意しなければなりませんが、昨年はこんな時勢だからと下見をしないまま入札したところ事前に決めたルールを逸脱するのは失敗の元と痛感しました。
Irish Free State. 1928 Proof AR.750 Shilling
Ireland Republic. 1942 AR.750 Shilling
Ireland Republic. 1954 Cu-Ni Shilling
Ireland Republic. 1968 Cu-Ni Shilling
丑年にちなんで牛が描かれた貨幣を探していたところ何年も進んでいなかったアイルランド共和国のシリングを入手する機会がありました。発行数の割には未使用の通常貨をあまり見かけない気がします。ハープのある面に現れているモヤモヤはプルーフには存在せず、白銅の通常貨にはあるので日本の50円白銅貨にあったような打刻時の圧力による影響に見えます。

2020.12.31 [エアコミケ2 新刊] 期間限定公開
「同人誌制作におけるピコ手サークルの生存戦略」は公開を終了しました。コミケにおける新刊頒布とほぼ同数のアクセスがあり関心の高さが伺えました。

2020.12.23 [期間限定] エアコミケ2 期間中の特別公開
今回のエアコミケ2では中世オリエントや中東から近世までのアジアや日本の金貨を中心に期間限定で公開しますので、お楽しみいただけましたら幸いです。

ソブリン金貨の価値感覚について
The value of Gold Sovereign at later 19 century and early 20 century.
統計情報からではなく「ヴィクトリアンサーヴァント」にある家事使用人の賃金や当時の Times 誌にある広告の物価などから、現在の価値感覚の算出を試みています。
算出根拠に興味がある方は既刊の同人誌「ヴィクトリアン・コインエイジ」「ヴィクトリアン・コインエイジ総集編」を参照ください。

1840/50年代 (英貨 1ポンド ≒ 8万円) 1838年ヴィクトリア戴冠
1860/70年代 (英貨 1ポンド ≒ 8万円) 「倫敦国際万博」開催、1860年に銅貨→青銅貨
1880/90年代 (英貨 1ポンド ≒ 7万円) 「シャーロックホームズ」などの創作物で描かれている時代
1900/10年代 (英貨 1ポンド ≒ 6.5万円) 1901年エドワード7世戴冠、1910年ジョージ5世戴冠、60年代比で約25％賃金上昇
1920年代 (英貨 1ポンド≒2.4万円) 世界大戦の影響から激しいインフレ、借款を銀で返済するため 1920年に .925銀貨→.500銀貨
ヴィクトリアン・コインエイジ初版 2009.02.15 制作時の会社員平均年収約650万円を基準に試算額であることにご注意ください。
その後ヴィクトリアン・コインエイジ I/II/III 総集編初版 2013/12/31 制作時の会社員平均年収約550万円であったので、試算金額 x 0.85 換算で追記しています。
そして 2020年現在は会社員平均年収約450万円なので、試算金額 x 0.75 換算をすれば感覚的に近いかもしれません。